るるむく日記

趣味にひた走るつれづれの日々

深くて広くて遠いもの

向こうの ― というのはこの場合オーストラリアとかイギリスとかを指すわけですが ― 新聞記事の見だしなどは、有名な作品のタイトルや台詞のもじりだったりするのがとても多いような気がします。多分にそれは私がチェックしている記事がお芝居や映画評のせいかもしれませんが、多いような気がします。というかその多くにほとんど気が付いていない事実にようやっと最近気が付いたという事なのですけれども。


「One Flew Over the Cosi Nest」


という見だしの記事がありました。これは2004年にオフ・ウェストエンドで、オーストラリアのお芝居「Cosi」を上演するという記事でした。(このCosiは1992年にオーストラリアで初演されたLouis Nowraのお芝居 ― 1970年代、精神病院を舞台に主人公が演劇療法の一環として患者たちとモーツァルトのオペラ、コジ・ファン・トゥテを創り上げる過程でのドラマ ― で、この舞台の初演時のキャストにDWが関わっていることと、1996年の、背景を現代に移した映画版でもDWが舞台と同じ役で出ているおかげで私にはなんとなく親しみのある演目だったりします。)


で、このタイトル、まったく何も考えずに読み過ごしていた私、つい昨日この記事を読み返してみて、あ、ヤダ、なんだこれってOne Flew over the Cuckoo's Nest

のもじりじゃないか。カッコーの巣の上で」=「One Flew over the Cuckoo's Nest」となったのも実はつい最近のことで、それもEさんのブログのおかげでした。この「カッコーの巣の上で」は原作小説の発表一年後に舞台化され、ブロードウェイをぶいぶい言わせ、後に映画化され、アカデミー賞総ナメとなったモノ。舞台が精神病院つながりだからなのかなーとなんとなく勝手に納得してみたのですが、記事を良く読んでみたら、それだけじゃなくて、2004年という年は、クリスチャン・スレイターがOne Flew over the Cuckoo's Nestの主役でロンドンデビューだったからなのね、とだんだんごめんなさいごめんなさい許してくださいという気持ちに。まあとにかくその、記事の見だしにもいろいろな含みがある、ということで眩暈がしてきました。

そんな事を思いながら他の記事をつらつら眺めるに、ひょっとしてThe Boysの劇評の見だしにあった、「The Brothers Grim」って「The Brothers Grimm」をひっかけているのかしら、と何でもなさそうな所までそのように見えてきてしまいます。

DWの出世作であるところのSeachangeだって、各話のタイトルはシェークスピアからだったり、ジャズのスタンダードナンバーだったりする訳で、(でもThe Fellowship of the Suit というタイトルはやっぱり何度読んでも笑えます)やっぱり有名どころは原題もおさえておかないとダメなのかもねぇ、などとなんだかとってもいろいろ遠い感じになってしまいました。ふう。

ところでこのCosi、今年の秋に日本の劇団でも上演される予定だそうなので、楽しみです。舞台版と映画版の脚本の違い早くまとめなきゃだわ。