るるむく日記

趣味にひた走るつれづれの日々

なんとなくつながった

検視官が捜査官を警察から調達するというのは、単なる慣例にすぎない。それも最近の慣例だ。わたしが自分のささやかな俸給の中から報酬を払いさえすれば、警察以外の人間を捜査官に指命していけないという決まりはどこにもない



スウォッチ 著:レイ・ハリスン 訳:高田恵子 創元推理文庫

久しぶりに読み返したミステリの中の一文。ヴィクトリア時代のロンドン市警のブラッグ部長刑事とモートン巡査のコンビのミステリなんですが、上のセリフを口にしたのは彼らを捜査官に指命した検視官、サー・ルーファス・ストーン*1。これで、なんとなく、漠然とですが、毒杯の囀りのクランストン卿の時代と今とが一本つながる感じがしました。不審死体発見>検視官に報告>捜査というのは同じなんだなあ、と。検視陪審という制度が日本にないのでピンと来ませんが、イギリスの検視官には捜査権があるのですね。

イギリスの検視官制度っていろんな所は変わってるんでしょうけれど、連綿とつながっているものなのねぇ、としみじみしてしまいました。

*1:ちなみにこのセリフはとある理由で警察を停職にされてしまったブラッグに対してストーンが言ったセリフで、それで私は君を捜査官補佐に指命するよ、と続くわけです