るるむく日記

趣味にひた走るつれづれの日々

生か、死か、それが疑問だ。


先日所用があり上京しました。用事は昼間のものだったので夜は空き。それをいいことにだめもとで当日浜松町の四季自由劇場へ行きましたら無事にチケット確保できたので、ハムレットを観て来ました。

自由劇場は、アプローチも素敵で、シアターに来たぞーとわくわく感でいっぱいになりました。
普段地方にいますと××県民会館、とか○○市民会館とかそういう多目的ホールでのお芝居ばかりですからね。

自由劇場は客席が500席ほどのこじんまりしたシアターで、舞台と客席が近いのが良いですね。


さて、ハムレット。生の舞台はこれがはじめての鑑賞です。今まではドラマやTVの舞台中継を見たことがあるくらい。
で全体の感想ですが、翻案なし、裏読み、深読みしすぎなしのストレートでシンプルな演出だなあ、と感じました。
舞台は黒と白を基調にしたシンプルなのもので、それが城塞から宮殿広間、宮殿廊下、ポローニアス邸、墓場、広野、と自然に見立てられています。

ハムレットは若くて生硬で、前王様は自分の妄執にとらわれてそれしか見えていないし、クローディアスは腹黒というよりは小心もののうっかり悪党(なんといいますか骨の髄からの悪党、というよりは、たまたま兄暗殺に成功してしまった小心ものという印象)オフィーリアは乙女の象徴そのもので、ガートルード王妃は流される女、かな。

今回観て思ったことは、「男の子」の話だなー、でした。「男の人」の話ではなくて。

叔父の犯罪を疑いつつも、踏み込めず、亡者である父に示唆されてやっと動きはじめる。その後も、思い切った何かをするわけではなく、迷い続けていますし、その迷いも、すべきことを悩むというよりは、前進することそのものへの恐れといった印象を受けました。まわりの見えなさや、自分の都合のよい解釈でまわりを振り回すところが、青いというより幼ささえ感じる「男の子」だなあと。


ラストの悲劇は、悲しいというより哀れさを感じました。

しかしやはり俳優さんの息遣いが伝わるお芝居はおもしろいですね。
さて、そのほかこまごました感想をいくつか。

・なんて饒舌な芝居だ!!
字面で読んだときも思ってはいたのですが、セリフが長尺で饒舌ですね。たたみかけるように襲ってくる言葉の波!
いいまわし、言葉遊びがまたくせになりそうなおもしろさ(口にする俳優さんは大変そうですが)

・舞台で見ると人物の位置関係がわかってセリフがわかりやすい!

読むだけですとこのセリフはどういう状況でどういうふうに言っているのかはてなマークがたくさんになるところもあるのですが、舞台で見ていたときはそういうところがなくて、おお、なるほど! のシーンがたくさんありました。

・レイアティーズおいしいぞ!
いや、(笑)いろいろホントにおいしかったです。
一幕のところで出てくる、ポローニアス、レイアティーズ、オフィーリアの家族の様子は本当に幸せ家族でした。
フランスへ立つレイアティーズが、妹を諭す言葉も、それを茶目っ気たっぷりで返すオフィーリアも、旅立ちにあたり、諫言と祝福を与えるポローニアスも、本当にお互いを大事に思っている様子が伝わってきて、その仲良しぶりが、憂いのないものだけに、その後の不幸っぷりというか転落振りが哀れを誘いました。
(レイアティーズのオフィーリアへのデコチューに妄想が炸裂していた私)
オフィーリアの狂気の哀れさもすごかったですけれど、それを悲しむレイアティーズがまた、哀れでした。

・ホレイショー地味だなあ
あ、ホレイショーファンの方ごめんなさい! もっとホレイショーって濃い役なのかと思ってたんです。もっとハムレットにばしばし影響を与える人なのかと。今回の舞台ではハムレットの後ろにいて、そっと背中を支えるという感じのキャラクターでした。

・ラスト近くのハムレットとレイアティーズの剣の試合はかっこよかった!!

二刀流での試合だったのですが、迫力がありました! 片手にレイピア、もう片手にダガーで、かんかんがしがしががーっとそれはもうかっこよかったですよ。


もう公演は終わりましたが、こちらが四季のハムレットのページ

http://www.shiki.gr.jp/applause/hamlet/index.html

また観たいな。