るるむく日記

趣味にひた走るつれづれの日々

RENT

観てきました。





会場は赤坂ACTシアター。2006年に日本で公開された映画を観て以来一度は舞台を観たいと思っていたものでした。
2006年からこちら、ブロードウェイ・ツアーの上演、東宝での日本人キャストでの上演もあったのですが、なぜかタイミングがあわず、観ないできてしまいました。
今回は2008年にブロードウェイでの上演が終わってしまったというのと、その後のツアーにオリジナルメンバーのアダム・パスカルとアンソニー・ラップが参加するというのとで自分の中でモチベーションが高まり、Gさんに先先行予約をお教えいただいて無事チケットを取って観ることができました。



語り部マークとロジャーとミミ、コリンズとエンジェル、モーリーンとジョアンナの3組のカップルそれぞれが過ごす一年で描かれる物語ですが、絆と孤独、厭世と情熱という相反する状況を行ったり来たりしながらの、彼らのありように胸がしめつけられました。
映画版から入った私ですが、舞台はよりエモーショナルで、一つ一つの台詞やしぐさに希求力がありました。
登場人物一人一人の物語と、彼らのかかわり合いの中での物語が並列して同時に絡み合いながら進められていく様子に、よりお互いの絆の固さやもろさ、流れていく時間そのものを意識させられました。歌と歌でない部分の細かなつながりも素晴らしく融け合って舞台を高めていたように思えました。
たとえば一つの歌が歌っている一組のカップルだけの歌ではなく、同時にもう二組のカップルにも影響している、同じ言葉で違う気持ちを歌っている、同じ言葉で同じ気持ちを歌っている、というような。
RENTは若者の話で、と言われ、確かに若者らしい迷いや怯えや情熱や孤独感を描いていますが、例えば大事な人を失う事の恐れや人を想う熱情や病や挫折からの絶望は、年齢に関係のない普遍的な感情の揺れを引き起こしてさまざまな世代の共感を得るのではないかな、と思いました。




キャストに関しては、アンサンブルを含め出演した方々すべてが素晴らしいとしか言いようがありませんでした。


キャストはロジャーとマークがオリジナルキャストのアダム・パスカルとアンソニー・ラップ、というのがものすごくフィーチャーされてましたが(私もそれに乗せられた口ですが)そのほかのキャストの方たちもブロードウェーでの上演時に演じていた人たちがたくさん! Seasons of Love でソロを取る女性はオリジナルキャストのグエン・スチュワートですし、エンジェル、コリンズ、スティーブはGさんが2008年の夏にブロードウェーでごらんになってきたときと同キャストで ジャスティン・ジョンストン、マイケル・マッケルロイ、テリー・リヨン。その他の方々も12年のブロードウェー上演中にアンサンブルや同役、別役で関わったことがある人たちばかりで、まさにブロードウェーごとやってきた、という感じでした。そうそう、アンサンブルにブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢に出ていた高良結香さんが出ていて、びっくり(いかに事前情報をチェックしていなかったかという(^^;)) 高良さんは声もキレイで、ダンスのキレも良くてステキでした。アンサンブルでいるのがもったいないような気持ちになってしまいましたよ。


アンソニーのマークは映画とのブレはあまりなく、印象もほぼ同じでしたが、「外からの視線」でグループを観ている、という部分が映画以上に感じられて、マークの無意識に持っていた罪悪感と優越(AIDSじゃないことや、お金を稼げるような職を手にしたこと)や、葛藤(自分の撮りたいものはゴシップTVじゃない)などといった感情が伝わってくる素晴らしい演技でした。またアダムのロジャーですが映画よりずっと舞台の方が惹きつけられました。まわりがクリスマスとにぎやかな中、一人少しうつむいて引きこもっているところも、厭世観に囚われながらもまだしおれていないミミに惹かれて行くところも、お互いを愛する言葉も傷つける言葉も、大事な人を失う事の恐れに直面できない弱さも、すべてひっくるめて、非常に魅力的でした。
この二人の掛け合いがまた絶妙で、普段は慎重にお互いの距離を保っているのに、若いし親友だから、踏み込みすぎて傷つけあう ― ヤマアラシの憂鬱のような ― シーンのやるせなさといったら!


そのほかにも、エンジェルとコリンズの出会いの一目惚れのシーンや、マークとジョアンナの同病相憐れむ的立ち位置のおかしみ、ミミの可愛らしさと哀れさ、モーリーンの魅力と強さ、映画より、心情的にはずっとロジャーたち寄りに見えたベニーの立ち位置など、「エンジェルのつないだ絆」という台詞がじっくり効いている彼らのありよう含め全てが、胸に染み入ってきました。。


本当に本当に心に響いてくる舞台でした。観ることができて本当に良かったです。


実は私が観に行った日は、夜の部でアフター・トークショー、そして昼の部の後にはアダム・パスカルのサイン会があるという嬉しい日でした。アフター・トークショーの存在は前日に公式サイトで眺めていて、「ああ、夜の部だったらトークショーがあったのに! おしい!」などと思っていたのですが、サイン会の方は当日会場についてから知ってびっくり!ラッキーとばかりにサインの列に並びました。


きゃー こんな間近にアダムがーと心で叫びつつ(ミーハーな私)パンフレットにサインをしてもらいました。
お疲れのところ申し訳ない(^^;) サインの後に浮かべてくれた笑顔はとってもステキでした。