るるむく日記

趣味にひた走るつれづれの日々

パブリック・エネミーズ



見てきました。
恐竜の最後を見るような映画だったなあという印象がまず一番に来ました。
デリンジャーは彼なりのポリシーに従って銀行強盗を繰り返しますが、次第に仲間たちを失い、シンジケートはもっと実入りの良い(そしてより安全な)犯罪のために彼らの支援を止め、強奪できる金額が少額になっていき、個人的な支援者も失っていく。デリンジャーのたどる道が滅び行く恐竜のようだと感じました。

それでも追い詰められるデリンジャーの方に悲壮感はなく、かえって追い詰める側のFBI、メルヴィン・パーヴィスの方に焦燥感と悲壮感と疲労感が色濃く出ているという不思議さ。
最後がわかっている映画ではありますが、最初から最後まで一本ずっと緊張感が保たれたままの目を離せない映画でした。


ジョニー・デップデリンジャーはさすが、非常に魅力的な男性に描かれており、当時銀行強盗でありながらヒーロー的な魅力もあったという人物造形 ー 怖い人だけれど惹き付けられる、というような ー がリアリティをもって描かれています。
一方のクリスチャン・ベールのパーヴィスは、限られた予算と人材で上司と世論からプレッシャーをかけられつつ闘わなければいけない苦悩、部下を殺され、司法警察をあざ笑うように犯行を重ねるデリンジャーへの憎しみを、もの静かな佇まいの中から時折見え隠れする激しさで、現場で苦闘する捜査官をすばらしい演技で見せてくれました。


・・・え? かの人ですか? ウェナム氏は・・・えー、普通に出演していましたが・・・ファン的にはちょっといやかなり寂しい出番だったなー、というのが正直な感想です。ううう。
ただ役柄的にはあの映画ではあのくらいの出番はしょうがないかなーという所かと思うのでPope Joanの日本公開(せめてDVD公開を!)を期待したいと思います。