るるむく日記

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Letters of Tolkien No.81

81:1944/9/23-25 FS51 クリストファー・トールキン宛て

 

Letters of J.R.R. Tolkien: A Selection

Letters of J.R.R. Tolkien: A Selection

 

 

 
クリストファーは南アフリカのスタンダートンに移動に。
 
教授は、もっと良いできになっている、二つの塔第四章の「香り草入り兎肉シチュー」から、10章の「サムワイズ殿の決断」の原稿をクリストファーに送るつもりとのこと。
 
「オックスフォードでは街の明かりが増えてきている。家々の窓もそうだし、街路灯の明かりも2列になった」とのこと。
 
この時期はフランスが解放されて、連合国側が優位になっていて、イギリス本国もそういう雰囲気になっていたのでしょう。
 
インクリングスからの帰り道ウィリアムスと、"freedom"が関連した概念における共通の要因が何か、ということを見出す困難さについて話した、とあり、
それに続いて戦争における、現在の政府の見解や報道に対する考えが述べられています。
 
 「ヒットラーは粗野で無教養な卑劣な男であるのはわかっている。しかし、ドイツ語をしゃべらない者たちの中にも粗野で無教養な卑劣な男は多くいるように思われるし、彼らは同じ機会を与えられていたらヒットラー的な特性のほとんどを表すだろう。」
「 おまえは敵に変化することなく、自身の「指輪」を使って敵と戦うことはできない。
しかし不幸な事にガンダルフの賢明さははるか昔に西へ彼と共に過ぎ去ってしまったように思われる。」
 
教授は「邪悪さ」というものが単一の国だけに存在するものではなく、どこの国、どの人種にも存在しうるということを言いたかったのかな。
 
「私は「Pearl」に取り掛かからなければいけないが、熱意が止まっている。
旅心がつき、ナップザックをしょって、ふらふら出かけたくなっている。
 
 
 
脚注へのコメント:
インクリングスで、ルイスがヴァージルの翻訳をしたものを朗読したのを聴いた。出版されなかったけれど、ルイスがウェルギリウスのアエネイスを翻訳していたとのこと。おもしろい。
 
それから、教授がクリストファーさんに送るつもりの原稿、
(Of Herbs and Stewed Rabbit; Faramir; The Forbidden Pool; Journey to the Crossroads; The Stairs of Kirith Ungol; Shelob’s Lair; and The Choices of Master Samwise).
とあって、この頃は第5章は「ファラミア」で、「西に開く窓(The window of the west)」じゃないんですね 。