るるむく日記

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Letters of Tolkien No.98


Letters of J.R.R. Tolkien: A Selection

Letters of J.R.R. Tolkien: A Selection

 

 

98:1945/3/18(日付なし、およそこの頃) スタンリー・アンウィン宛て
 
手紙の前提として、「アンウィンの年長の息子、デイヴィッド - 子供の本の作家、David Servern,は、1945年の一月に出版されたDublin Reviewで「二グルの木の葉」読んでいた。彼は父親に、「この上なく素晴らしい作品」、と呼んで、この小説を勧め、トールキンの他の掌編とあわせて、一冊の本として出版するよう提案した。」
 
あなた宛ての手紙を書いているうちにあなたから手紙が届いてしまった。
レイナー(スタンリーの息子)についての良い知らせをあながたが受けとっていることを願っています。私の息子クリストファーは英国へ移動中と聞きました。なのできっとレイナーも英国へ移動中だろうと期待しています。
クリストファーの事が心配で原稿がすすみません。クリストファーは私にとって、聴衆であり、批評家であり、息子であり、指導する学生であるのです。
 
普段私は非情な困難の中永遠につづく書き直しをもって創作するのですが、「二グルの木の葉」は痛みなく書き上げられました。さて、「二グル」は私が今まで書いてきた、あるいは始めたどの短い話にも似ていないので、私はこの話が今までの話と調和するだろうかと思った。
一冊の本にするチャンスがあるでしょうか?

1つか、二つの短い物語ーうまく挟んで通過する可能性があるーがあります。(いくつかはすでにオックスフォードマガジンで出版されています)

「農夫ジャイルズ」は可能性として考慮されませんでしたか?

 

より大きな作品としてもちろん、私の真の望みは「シルマリルの物語」を出版することです。

 素晴らしいホビットの続編があります。

量的な意味でのみ「素晴らしい」という言葉を使用しています。

しかしそれは、一部を削り取ったり、短くしたりはできないでしょう。
しかしそれは完成していません。
私は昨年、それを終わらせようと努しましたが、失敗しました。

 

あなたが本当に今それのいくつかをごらんになりたいでしょうか?

それは5部にわかれ、それはそれぞれ10-12章からなっています。4部は完成して、最後のを始めました。

私はそれをあなたに送ることができます。一部分ずつ、現在の不完全な状況のままで - 乗り手たち、代替案、さまざまなふさわしい名前、ーあなたが 「止めろ!もう十分だ。出版できない、リンボ界の中にある「シルマリルの物語」と同じ道を行くことになるぞ 」と叫ぶまで。

 

私はイースターまで「特別試験」があります。

私の同僚、H.C.K.Wyldの死によってひきおこされたすべての問題、「Pearl」の翻訳の仕事にかかわる問題、Simonne d’Ardenneと共著予定の西部中期英語 Katerineの原稿の仕事、(脚注 これは完成しなかった)Ancrene Riwle の仕事(脚注:実際1962年まで完成しなかった)があります。

 

もし一日を二倍にするやり方をあなたが発明できるなら(そして私を下働きの義務から解放してくれるなら)私は原稿であなたをおぼれさせるでしょう。

 

私は深くあなたのご親切とお気遣いに感謝し続けます。

 

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クリストファーさんが英国に帰ってこれそう、というのと、二グルとジャイルズその他で本が出せませんか?というのと、指輪はまだ完成してません、いろいろ忙しくて、というお手紙。