るるむく日記

趣味にひた走るつれづれの日々

読み初め

今年一番最初に読んだ本

恋するA・I探偵 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

恋するA・I探偵 (ハヤカワ・ミステリ文庫)



ドナ・アンドリュースの新シリーズです。主人公、チューリングはUL社の人口知能パーソナリティ。自分を制作したプログラマーの失踪をたどるうちに、さまざまな事件が起きてというコジー・ミステリです。
主人公は、人格付与型のプログラム、という設定なので、彼女自身はネットワークの中の存在ですから、安楽椅子探偵系といえるかもしれません。その彼女の手足となって動いてくれるのは彼女自身の「存在」を信じて友だちになっているモードやティム。人格付与型のプログラムという存在としてチューリングは知られて居るわけですが、ただのプログラムと考えているのが大勢で、「彼女自身」の自立した意識があるとわかっている、のはこの二人のみ、というお約束な設定も含め、ちょっと懐かしい気分に襲われたのは、多分、チューリングという存在とその魅力的な性格が、「月は無慈悲な夜の女王」のマイクや、「愛に時間を」のミネルヴァ、あるいは佐藤史生の「ワン・ゼロ」のマニを彷彿とさせるせいかもしれません。このあたり多分作者のドナ・アンドリュースはわかっていてやっているような雰囲気で、(なにせチューリングが扱うマニピュレーターが「ウォルドウ」ですから)訳者あとがきに、作者はハインラインアシモフのファンだったというくだりを読んで納得です。

これはシリーズ化されているらしく、続きが楽しみです。