るるむく日記

趣味にひた走るつれづれの日々

魔術師の夜

魔術師の夜 上 (創元推理文庫)

魔術師の夜 上 (創元推理文庫)

魔術師の夜 下 (創元推理文庫)

魔術師の夜 下 (創元推理文庫)

読了。マロリーシリーズ、5作目。5作中一番好きかもしれない。1作目を読んだ時はうーん・・今イチかなーなんて思っていたのですが、巻を追うごとにだんだん良い感じになってきました。主人公のキャシー・マロリーは、NY市警の刑事。超絶美貌及び、ナイロンザイルかステンレススチールかの心臓及び社会一般からかなりズレた倫理観の持ち主。天才ハッカー。女性。

今回の話は、1940年、占領下のパリでのある女性の死亡事件が因縁の、現代のニューヨークで起こる殺人事件。マジック・フェスティバルを舞台に、愛情と友情と信頼と欺瞞とが交錯する、どきどきモノの話でした。狂気の大魔術師マラカイのキャラクターが絶品です。

何をどう書いてもなんだかネタバレしてしまうような気がしてうまく書けませんが、非常にドラマチックで鮮やかな話でした。
「魔術師」という言葉にはなんというかロマンチシズムを刺激する何かがあると思うのですが、その他、親友とか、好敵手とか、いろいろツボを押されてどきどき感がパワーアップさせられた話でもありました。



このマロリー・シリーズ、脇役で登場する、チャールズと、ライカーは、近年読んだ本の中では健気度ナンバー1とナンバー2の位置にいるキャラクター。特にチャールズ。シラノ・ド・ベルジュラックの外見とずば抜けた頭の良さに加わる性格は、クリスチャン以上の善人、お人好し。キャシーへの恋は、報われてるんだから報われてないんだか、そもそもキャシーに報いるという気持ちがあるのかどうか、相変わらず幸せなんだか可哀想なんだか分からない立ち位置にいます。彼には幸せになって欲しい・・・