るるむく日記

趣味にひた走るつれづれの日々

Oklahoma!

Oklahoma! (1998 London Cast)

Oklahoma! (1998 London Cast)

ヒュー・ジャックマンが主役、というのに惹かれて観ました。1907年、オクラホマ。農場の娘ローリーと牧童のカーリーの、お互いの気持ちに素直になれない若いカップル(お約束(^^))と、それに絡んでくる農場の働き手ジャド。彼らの恋の行方を主軸にした昔風のストーリーのミュージカルでした。

カーリーとローリーの初々しいカップルは本当に可愛らしくて、ヒューと、ジョゼフィーナの息もあっていて良かったです。そしてもう一組のカップル、ウィルとアニー、そこに絡んでくるアリ・ハキームとのコミカルなやりとりも軽やかで楽しいです。

そんな中、カーリーとローリーの間に入ってこようとするジャドは、この舞台での不安感と恐怖感を一身に背負わされたキャラクターに見えました。

異質だから孤独なのか孤独だから異質なのか、村の集合体の輪から半歩はみでた所にいた彼が、ローリーとカーリーというカップル ― 言ってみればこの時代の村の「中心」 ― に割って入ろうとして思いっきり拒絶された話という所もあり、ラストの決着の付け方は本当にアレで良いのか? という気がしないでもありません。ジャドは、異質さだけでなく、邪悪さもこの舞台では強調されていたように見えましたが、この邪悪さも、果たして、もともと彼の性質としてあったものなのか、それとも、孤独や疎外から彼が身につける事になってしまった性質だったのか、いろいろと考えさせられてしまいました。

とりわけ、カーテンコールでの最後でみんなで肩を組んで「オクラホマ」を唄うシーンがあったのですがそこでは当然の事ながらジャド@シュラーも楽しげに明るくこの歌を唄う訳で、こういう姿がありえたら良かったのになあ、と思いました。

しかし音楽と歌詞は美しく、ダンスシーンも見事。また何より、キャストそれぞれがそのキャラクターとして、説得力があり、素晴らしく見応えのある舞台だと思いました。

私はサントラをはじめに聞いて、うーん、いいなあ、と思っていたのですが、やはり映像込みはもっともっと良かったです(^^)。何といっても役者たちの表情が、動きが良いこと! 特に、”Pore Jud is Daid”というジャドとカーリーの二人のやりとりからジャドのソロに流れる一連の部分はヒューとシュラー二人のやりとりも、ヒューの困惑や、シュラーの怒りに満ちたソロといい聞き応え以上に見応えがありました。また、カーリーがローリーにプロポーズをするシーンでのロマンティックさは、やはり映像があってこそ。お互いの気持ちを確かめあって、二人で唄う”People Will Say We're in Love”のシーンの本当にシアワセそうな所と言ったら表現のしようがない程です。

本当に日本版のDVDが出ていないのが残念です。このテレビ放映用に作られたフィルムはNHKも関わっているらしいですし(^^;)私は未見ですが、NHKでTV放映もしたそうですから、もう字幕もある筈なのですし、もったいないですね。


そういえばラストは「オクラホマ」が州成立して明るい未来、という感じなんですが、前にヒュー・ジャックマンが何かのインタビューで「でもこれの20年後が「怒りの葡萄」だからねぇ」などとさらっと言っていて、なんだか不思議な気持ちになりました。やっぱりアメリカって短い期間にぎゅっといろんな事がつまってるなあ・・・