るるむく日記

趣味にひた走るつれづれの日々

300感想


せんだって先行上映のあった300を見てきました。明日からいよいよ公開です。

映画を観ての感想は「コミックが原作の物語を実写でドラマ化した映画」ではなくて、「原作コミックをなるべく忠実に映像化しようとした映画」でした。


以下ネタバレ含みの感想です。




観る前から心づもりしていた映画の様相は裏切られることなく、ひたすらに闘うものたちの映画でした。

原作以上に、「語り部ディリオスが、敬愛するスパルタの王レオニダスを、テルモピュライの闘いを、スパルタの戦士たちに語り、目前の戦闘を前に兵士たちを鼓舞する話」という構造がはっきりしていたので、ありえないような戦闘シーンも、かなりイッっちゃっているペルシア軍の描写も、ディリオスフィルター越しのそれ、と思える作りになっていて、非常に作られ感の高い描写や書き割り背景を許してしまう感じでした。まあこういった構造が曖昧だったとしても、現された映像の凄さに圧倒されて、全てを許してしまう感がありますけれども。ところどころにビミョウなセリフまわしはあったものの、その辺は脳内で「当時の自由市民」と変換して



そこここで絶賛されていた戦闘シーンはさすがの魅せどころで、フォーメーションの力強さ、個々人の戦闘のダイナミックさとどれもこれもが堪能できました。
ファランクスの戦闘シーンも、良かったですが、一番キレイだと思ったのは、やはりステリオスとアスティノスの、お互いがお互いの左後ろをフォローしながら闘うシーンで、二人の闘うシーンは殺陣というよりは舞踏のようでした。



腕が飛んだり首が飛んだりのシーンはいったいどうなることかと思いましたが、血しぶきは飛んでいるものの、様式化されていて、あまり生々しさ感はなく、ホラー、スプラッタ系はちょっと苦手な私でもそれほどの苦痛はなく過ごす事ができました。


レオニダス王とゴルゴ王妃の関係ですが、どこかのレビューで、夫婦らしい情愛が感じられて良かったというのを読みましたが、確かにそれを感じました。
お互いに身体も気持ちも慣れた者同士のやりとりは、イロっぽい描写を含め、情愛に満ちた豊かなもので、良かったです。出陣前のそういった二人のやりとりが、物語途中の「王妃の闘い」とラスト近くの「王の遺言」に一本つながって、原作より王妃の役割が重くなって、という噂にいったいどんな風なんだろう? ロマンス風味がかぶって物語として浮かないだろうか、と思っていたのですが、そこはきちんと物語の中に溶け込んでいて良かったと思いました(ある意味、そういうものを一切はぎとって、闘い闘い闘い闘い闘い闘いだけに特化して作ってもありだったかな、とも思いますが)



とにかくゴンガンゴンゴンと闘うところにもえる映画であろうことは確かで、「戦闘・映画」として観るのが吉の映画と思いました。


ところで注目の「彼」ですが、とっても目立っていて、そうだと言われていてもやっぱりびっくり、どっきり(^^;)
ナレーションがうざい、という話もありましたが、それは物語の構造がそうなので、ありじゃないの? という印象でした。彼の今回のナレーションは「映画のナレーション」ではなく、「語り」。ラジオドラマや、ドラマ化された朗読仕様に近くて、、常に「これはディリオスが語っている話だよ」を意識させるようなしゃべり方だったと思います。

映画の中では、前半部はセリフがほとんどない割にやたら画面に入ってくるし色素薄くてきらきらしてるし、短髪で妙に可愛いし、王様たちが貫禄あってカッコイイのに、彼は「カワイイ」形容が似合うぞ! とすっかりくされモードになってしまいました。スパルタへ送り出されるシーンなんて、王様よりずっと年若の戦士に見えるぞ! (え? やっぱりくさってる??)それがラストではひたすらかっこよく、檄を飛ばして、その上、先陣切って突撃だなんてちょっとどうしちゃったのー その演説は何事なのーとなんだかぐるぐるしてしまいましたよ。



オマケ、
今回の字幕は林完治氏、ところで出陣するレオニダス王に王妃が「Spartan!」と呼びかけるシーンに「王よ」という字幕がついていたかと思うのですが、ここは「王」としてではなく、スパルタの戦士として出陣する、とか、王よりも何よりもまず、「スパルタの誇り高い戦士である」ことが一義に来るということを示すセリフじゃなかったのか? と思ったのでちょっとそこがどうかな? とちらと思いました。