フェンシングを習ったり、魔法を習ったり、ラテン語を勉強したり、料理を習ったり、とおよそ王女サマらしくない王女、シモリーンは、隣国の王子(悪い人ではないが脳筋ぎみ。)との結婚話がトントン拍子に決まりそうになった所をカエルのアドバイスで逃げ出し、逃げ出した先で出逢ったドラゴンたちと交渉の結果、彼女を気に入ってくれたドラゴン、カズールの元で暮らすことになります。
来なくていい! と言っているのに、救いにくる騎士たちとか、うさんくさい魔法使いたちとか、ドラゴンに捕らわれた、お姫様友だちとか、魔法とか、ドラゴンの王様を決める「コリンの石」とか、炎と闇の洞窟とか、おとぎ話のガジェットが満載。
ストーリー自体は特に目新しいものではありませんが、語り口のテンポの良さと、キャラクターが人間、ドラゴンを問わず生き生きしていて、ひっぱられます。物語そのものの楽しさもさることながら、おとぎ話のいろいろを踏襲したりひねったり、とたくさんその手のひっかかりが出てきてそれがまた嬉しく楽しいお話です。物語を素直に楽しむもよし、そこここに出てくる「しかけ」にニヤリとするもよし、の可愛らしいお話でした。
この本は、オリジナルを去年のお正月明けに、読んで、とても楽しくて、これ日本語で読みたいなあ、どこか創元ブックランドとか、ルルル文庫とかで翻訳してくれないかなーと思っていたものだったで、願いがかなって嬉しいです。2巻目以降もとても楽しいので訳出が待たれます。オリジナルのペーパーバックの表紙も可愛いので、ぺたり。
Dealing With Dragons (Enchanted Forest Chronicles, 1) Patricia C. Wrede Magic Carpet Books 2002-11-01 売り上げランキング : 43901 Amazonで詳しく見る by G-Tools [t]:Dealing With Dragons ([t]:Enchanted Forest Chronicles, 1)[an]:Patricia C. [as]:Wrede |
作家のパトリシア・リーデさんはたくさんの児童書、ファンタジーを書いていらっしゃいますが、私的に特筆しておきたいのは、彼女がライアヴェックの創始者の一人だ、ということでしょう。ライアヴェックのシリーズ、復刊しないかしら・・・
それから、スターウォーズのジュニア版ノベライゼーションもしています。こちらは日本で訳本が出た筈。
おしまいに。
この本を読み終わった時に、思い出した本がこちら。
Once upon a time―夢色冒険譚 めるへんめーかー 早川書房 1985-11 売り上げランキング : 1044143 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
めるへんめーかーさんがかつてSFマガジンに連載されたファンタジーです。
こちらの話もいろいろなお姫さまが出て来ますが、最終話では、ああ、そういう風に自分で動きだしちゃっていいのか、他人の思惑なんて知ったこっちゃないんだーと目から鱗が落ちるエピソードがあった、今も好きなマンガです。
絶版なのは残念だなあ。
自分のしたいことをできる生活が一番だよねぇ、やっぱり。