るるむく日記

趣味にひた走るつれづれの日々

荒野のホームズ


荒野のホームズ カウボーイ・ホームズ走る! ハヤカワ・ポケット・ミステリ
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といって「あの」シャーロック・ホームズが西部で牛追いするわけではありません。
シャーロック・ホームズの物語を知って以来、すっかりホームズに傾倒したカウボーイが、ホームズに習って推理を展開するという話です。



時は1892年、アメリカのモンタナ州で、主人公は、カウボーイの兄弟。兄のオールド・レッドがホームズ役、弟のビッグ・レッドがワトソン役で、弟のビッグ・レッドが語り部です。ドイツ系アメリカ人で、二人して見事な赤っ毛(^^)。 からかいのネタに、と読まれた「赤毛連盟」を聞いていらい、オールド・レッドはすっかりホームズに傾倒してしまいました。
ホームズ流の、「外見からその人となりを推理するゲーム」では飽きたらず、VR牧場で起こっている「ミステリ(不思議)」を解明するために、二人はVR牧場に雇われる事になります。
何せ19世紀末の西部ですので、同時期とはいえロンドンのホームズの事件よりは随分荒っぽい所はあるものの、事件の解決は、本家ホームズ同様、事実や、事象、それの観察とそこから導き出される仮説、そしてその仮説を裏付ける事実の探索、という形で、進んで行きます。
この兄弟、病気や洪水で、お互い以外の身内なし、天にも地にも兄弟二人っきりです。兄は学問こそないけれど(彼は教育も満足に受けてこれずアルファベットを読めません)観察力と洞察力に優れていてロジカルに推理を進めて行きますし、弟(こちらは学校に通わせてもらえたので、字も読めます)が、それをサポート。良いコンビです。
なので弟がホームズの物語を兄に読んであげるんだけど、ラスト近くの朗読には泣けます。



兄弟、赤毛、カウボーイという設定で、思わず手にとってしまいましたが(^^;)(でも読み終わってみると、DWとJFのビジュアルでは浮かんでこなくて、どちらかというとヒューゴさんとサム(ワーシントン)あたりがお似合いかもとちょっと思ってしまいました)ホームズのパスティーシュ(というくくりでいいかな)、としても、ちょっと珍しい19世紀、ウェスタンミステリとしても楽しめる作品でした。
次作も邦訳されるようなので楽しみ。次作では二人はカリフォルニアに向かうサザンパシフィック鉄道の護衛として雇われるんだそうです。