るるむく日記

趣味にひた走るつれづれの日々

国王陛下のドラゴン

His Majesty's Dragon (Temeraire)

His Majesty's Dragon (Temeraire)

せんにちょっと話題に出したTemelaireのシリーズ、今秋、ヴィレッジブックスから邦訳発行予定だそうです。作者のサイトに第一章の下訳(?)みたいなのが載っています。わー、嬉しい!



http://www.temeraire.org/


このTemelaireのシリーズ、ナポレオン戦争時代の海戦ものの話なのですが、ドラゴンが実在する、という設定の許での架空戦記。ドラゴンは、非常に賢く、人間との意志疎通ができて、その戦闘能力、飛行能力から、この時代の戦争にも投入されているという設定です。ドラゴンが実在するといって、魔法的存在として存在する、というのではなく、地球上の生物の一種という形での存在で、アースシーのドラゴンよりはパーンのドラゴンに近いと思います。
ピーター・ジャクソンが、映画化権を取った、というのでそこここで話題になった本ですが、そのスピード感あふれるドラマチックな展開、キャラクターの魅力とで、人気も高く、今年のヒューゴー賞の長編部門にノミネートされています。


時代はトラファルガーの海戦のちょっと前、ホーンブロワーやシャープの時代です。主人公は、イギリス海軍のウィル・ローレンス。とある戦闘で、捕獲したフランス船に孵化寸前のドラゴンの卵があった、というところから話が始まります。ドラゴンは孵化してすぐに一人の人間と絆を作る(この設定はどっかで聞いた事がありますね(笑) でも「感合」はしませんでしたよ)事が知られていますが、その気のなかったローレンスは、何の因果か、船で孵化したドラゴン、Temeraireのパートナーになります。
ということでローレンスとTemeraireはパートナーになって、空軍へ転出、訓練を受けようという事になります。
ストーリー展開は、ファンタジーというよりは海洋冒険もの、軍隊モノ。行った先ではいろんなドラゴン、いろいろな飛行士との絡みがあって、今まで規律正しい海軍さんでやってきたのに、空軍の方はだらしない感じ、とか、フレンドリーに迎えてくれた人と敵意むき出しの人とか、女性の飛行士の存在とか(私たちの世界的には、この時代でそれはありえませんが、この本の世界では、女性の飛行士しか認めないドラゴンがいる、という設定のため(^^;)、女性飛行士もおります)飛行訓練の教官にびっくり、とか訓練のいろいろも含め、楽しさ満載。 Temeraireの出生の秘密(^^;)とか、ローレンスのロマンスや、飛行士たち、ドラゴンたちとの友情、そして彼らの成長が書かれていきます。そのへんの絡み具合といい何といい、この手の話としては王道な展開で、そして非常に楽しいです。

クライマックスの戦闘はものすごく派手派手で、これをWETAが本腰いれて映像化したら、と思うと目が眩みそうです。今までのファンタジーのイメージとして、ドラゴンとドラゴンライダーは1対1
というのが普通だったかと思うのですが、この話では違います。ドラゴンは大きくて、(伝令向けの小さな、ドラゴンもいますが)幾人もの乗組員を乗せて飛行隊を組んで闘うのです。ドラゴンは爆撃機みたいな事もするし、ドラゴン本体の鈎爪や体当たりを使った攻撃もするし、ドラゴン同志のファイトもあるし、乗組員がドラゴンに乗り移って、相手方の乗員との戦闘もあるし、で、ものすごいことに。
意志のある「飛行艇」と共に闘っている感じとでも言えば良いでしょうか。



とにかくこのおもしろいシリーズ、邦訳発行決定は嬉しいです。2巻は中国行きで、往路の海洋冒険&中国本土での異国冒険譚、3巻はシルクロード大冒険&ヨーロッパ大陸縦断&ドイツ・ポーランド戦役巻き込まれ、と巻を追うごとにさまざまな冒険が待っています。2,3巻は女性度が低くてそっち方面が少ないのがちょっと寂しいですが、傾国の美ドラゴンたるLienなども出てきますし、目が離せません。

作者のNomi Novikさんは、マスターアンドコマンダーのファンだそうで、ローレンスのイメージはラッセル・クロウでもなんてどこかで書いてらっしゃいましたが、私はローレンスのイメージはラッセルクロウじゃないなあ(^^;)じゃあ、誰? と言われたらなかなか困りますが、ヨアン・グリフィスとか、クライブ・オーウェンとか?? それも違うと言われそう(^^;)。
PJの映画化もうまく進んでくれるといいなあ。私は秘かに、Novikさんとフラン・ウォルシュやフィリパ・ボウエンは気があいそうだと思っているので、おもしろい映画ができるんじゃないかなーと思うです。



カッコわるくてあたりまえ 2006/Nov/14-18の記事から改稿投稿