るるむく日記

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Letters of Tolkien No.124

 

Letters of J.R.R. Tolkien: A Selection

Letters of J.R.R. Tolkien: A Selection

 

124:1950/2/24 スタンリー・アンウィン卿宛て


[アレン&アンウィンは読者の問い合わせを渡したートールキンが「Authentic History of Faery(妖精の真の歴史)」を書いたかどうかということについて]

 

親愛なるアンウィン
 
休暇中だったが、セルビー氏から渡されたあなたの質問にもっと前に答えるべきだった。セルビー氏が何について言及しているのかわからない。
私はもちろん、「Authentic History of Faery(妖精の真の歴史)」を書いていない。流言の根拠はない。セルビー氏は私と妖精を関連付けていて、私の名前を誰かの仕事に張り付けたのだと思っている。
 
あなたは、「指輪物語」の原稿を見たいと、手紙であらわしてくれた。一部は未改訂ではあるが、完成した。
私の作品は私の支配をのがれてしまった。私は怪物を作り上げてしまった。それは、莫大な長さで、複雑で、悲痛で、そしてとても恐ろしいロマンスで、子供には不向き(もし誰かに向いているということがあるとしても)だ。
そしてそれはホビットの冒険ではなく、シルマリルの物語の続編だ。
あなたは私のことを愚かしくてやっかいだと考えるかもしれないが、シルマリルの物語と、指輪物語の両方を出版したい。連携して。
「私は(出版)したい」ー「私は(出版)していただきたい」と言うのがより賢いかもしれないーなぜなら、小さな包み、言ってみればー100万語ーの物事ーアングロサクソン人(もしくは英語をしゃべる大衆)がなんとか耐えうる、と提示されたものーは光をみることができそうにないー紙が自由に利用できたとしても。
 
私はいかなる思い切った書き直しも圧縮も考えられない。
 
あなたが、明らかに利益にならない申し出を断って、何かより妥当な本を提案するよう願っても、私はどんな不満も申し立てない(し、ひどく驚くこともない)
 
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100万語の本を a little packetというのはいかがなものか・・
 
そして指輪物語の原稿をタイプしてもらうのに見積もりでは100ポンドになり、余裕がない、という事も書いているのですが、100ポンド。現在のレートでは16000円くらいですが、Currency converterというサイトで、1950年をみてみると2017年換算で3,120ポンドと出る。そうすると40万円くらい。うーんこれでは、教授をして「自分でほとんど全部タイプする」になりますね。