るるむく日記

趣味にひた走るつれづれの日々

その3:私の好きな本屋さん

好きな本屋さんがありました。この間、出かけたら「店を閉めることになりました」、と張り紙があって、本当にその前日に閉めたばかりでした。ちょうど店は片づけ中で、ご挨拶だけでもできたのが僥倖でした。


街中の小さなごく普通の店構えの本屋さんです。
間口が三間、奥行きが三間半ほどでしょうか、壁一面に本棚がしつらえてあって、店の中央が雑誌の書見台で、店の入り口に、縦型の雑誌書見台がたっていて、という昔ながらの「街の本屋さん」です。なんだかんだで初めてその店に入ってからは足かけ15年程たつでしょうか。自宅からちょっと中途半端な距離にあることもあって、ここ数年は用事のついでに月に1〜2回ほど訪ねるくらいの本屋さんでした。

街の本屋さんですから、なんでも取り扱っております。普通の本、ハウツーもの、雑誌、マンガ。まちの本屋さんの守備範囲は広いです。雑誌は、婦人画報から、朝日カメラ、ロッキンオンや月刊クラシック、週刊アスキー日経コンピューター、週刊プロレスもたまごくらぶや今日の料理、プレミア、スクリーン、めばえに、少年マガジンその他いろいろ、とりそろえてあります。ハウツーものは、金魚の飼い方から動脈硬化とのつきあい方まで。
文庫は新潮・文春文庫からハヤカワ・創元の新刊は確実に、電撃文庫・角川ビーンズ、ホワイトハート周辺まで、漫画文庫もフォロー、新書はハーレクイン系ロマンス新書から岩波新書講談社ブルーバックスまで、ときどきハヤカワのポケミスなんかもひょこっと入ってきたりします。児童書は松谷みよこさんから、ハリーポッターまで。文芸書は国内一般から海外セレクションまで、評論、ノンフィクションもそろえてあります。漫画はちょっぴりだけど少年ジャンプやサンデーのメジャーどころを手堅く押さえています。辞書系も国語・英和・和英・百科事典・図鑑、とフォローしてあります。

買った本で思いでに残っているものといえば恩田陸の「球形の季節」井辻朱美の「遥かよりくる飛行船」小野不由美の「屍鬼トールキンの「終わらざりし物語」、「クッキングブック:パトリシア・コーンウェルの食卓」「 魔法使いハウルと火の悪魔」「バッテリー」「フェッセンデンの宇宙」「琥珀取り」「中世ヨーロッパ食の生活史」「ナショナル・ジオグラフィックディレクションズ」どれも出版流通後すぐに普通に(注文取り寄せなどではなくて)買った本たちでした。

私はこの本屋さんに来るといつも、良く手入れされた庭を見るかのような気持ちになっていました。ミステリー、歴史、時代物、ファンタジーに理解が深くて、国内だけでなく海外邦訳ものも入れてくれて、もちろん話題の本(「バカの壁」とか「金持ちとうさん貧乏とうさん」とか)新聞に書評が載ったような本はきちんと入っていて、児童書も定番ものから最近のものまできっちり押さえてあって、というスタイルは私の読書のツボのど真ん中をついておりました。そして、一見してはわかりにくいのですが、通えば通うほどに、ご店主の本好き、店舗のメンテナンスの確かさが伝わってくる本屋でした。

その本屋さんが閉店です。2月に訪ねた時にはそんな話はでなかったのですが、
急に決めたというおはなしでした。
ちょっと、かなり、ものすごく、とても淋しくて残念です。淋しいのと、今までの感謝とでまだなんだか混乱している途中です。来月出かけて、あの場所にもうあの本屋がないという時がちょっと怖いです。