るるむく日記

趣味にひた走るつれづれの日々

Answered by fire

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1999年8月30日、東チモールの独立を問う、住民投票時におけるドラマ、と言うことなんですが、ドラマのキャラクターたちそれぞれがそれぞれの立場で、1999年の東チモールという特別な場所を、ぐらつきながらも立って前に向かって歩いている(歩かざるを得ない)その歩きようのドラマだなあ、と思いました。

淡々と時系列順で語られるドラマは、1999年の過去を、現実として立ち上がらせています。

一つの国を一人で立たせるために、外から来た人間と内に住む人間とが、手をとりあって進まなければいけなくて、それなのに内に住む人間同志でもまた別の外からのちょっかいも強くて争っていて、最終的には内に住む人間だけでやっていかなくてはならないのだから、外に寄りかかりすぎず、内に手を出しすぎず、それでもこの「現在」の時点ではその力のかけようのバランスがとても難しくて、あー、もうどうしたらこの国はうまく進めていけるんだろう! という焦燥感を抱えつつ、いま成すべき事、を一つ一つこなしていくUNスタッフや東チモールの人たちの姿の描かれ様には胸が苦しくなってきます。
ストーリーの要である東チモールの通訳Ismenio、カナダ騎馬警察のJulie、オーストラリア警察のMarkをはじめ、脇役の一人一人にいたるまで、キャラクター造型は丁寧でした。

完全なる救いの手を期待する地元住民の視線を受けながら、制限された中で仕事をする、JulieやMarkらUNスタッフの焦燥感や切迫感、投票後の破壊行為や虐殺を予測しながら、東チモールを離れざるを得なかった悔恨、オーストラリアやカナダに戻ってからの東チモールとはあまりに違う「平和」で「豊かな」生活とのギャップ、東チモールに再びやってくる事への葛藤が、ひしひしと伝わってきましたし、IsmenioやMadalenaからは独立支援に関わる行動の結果として起こる自分や、家族に対する暴力や死を怖れ、それでも、葛藤しながらも変化を、インドネシアからの支配を脱することを求め、行動していく、靱さが伝わってきました。
とにかく特筆すべきと思うのは、やはり、Ismenio役を演じたAlex Tilman君をはじめとする東チモール出身のキャストたちの演技を越えた存在感で、エキストラの一人一人からすら伝わってくるその存在感には圧倒されます。東チモールではなくオーストラリアで撮影されている、ということを失念してしまう情景が続きました。




DW的には初登場シーンからいきなりこのカッコイイ人だれ? ってな感じで、今までDWが演じてきたキャラクターの中でも1,2を争う、漢前で、しっかりした、頭が良くて感受性のある、仕事のできる、2枚目キャラクターではなかろうか。しかしお家でいきなり、え? こんなでかい娘の父ちゃんなの??とか思ったのはナイショだ。でもDWも40才なんだし、ティーンエイジャーの娘がいてもおかしくない年頃なんだよね。ジュリーとの上司・部下の関係も好ましかったけど、お家での奥さんや娘とのやりとりがなんとも良い感じでした。
東チモール撤退後の豪での生活の描かれ様がMarkもその家族もせつなくて、もう一度東チモールに行くという時のMarkと奥さんの会話は胸につきささるつきささる。まあだからこそ帰るよの電話のシーンが生きてくるんでしょうけど。
そもそも泣きっ面ウェナムには弱いワタシですが、ロンの家から荷物を持ってきた憔悴したMark@DWの姿と、帰ってきた自分の家で娘とそのボーイフレンドが無邪気にじゃれあってる姿との、その無惨なまでの対比にはこちらまで泣きたくなってしまいましたよ。