- 作者: ランドル・ギャレット,風見潤
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1978/01
- メディア: 文庫
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この本は、せんに読んだ「キングとジョーカー」のような、パラレル・ワールド・ミステリですが、せんのキングとジョーカーが、英国王室が違う事以外およそ変化がなかったのとくらべるとかなり変わっています。獅子王リチャードが、シューリーズ包囲戦で死なないで、王位を末弟のジョンではなく自分の次弟の息子、アーサーに譲ったら、そしてその後、フランスに広大な所領を持ったままの大帝国を発展させたら、そして科学が発達しないで魔術が発達したら、という世界。プランタジネット朝がずーーーと続いている世界です。しかし、科学の代わりに魔術が発達した世界であろうと、私たちの世界と同様、殺人はおこるのです。
主人公は、ノルマンディ公爵主任捜査官のダーシー卿。彼が、魔術師のマスター・ショーンと共に殺人事件を捜査するという話ですが、魔術が発達した世界であっても、魔術は万能ではなく、ある一定の制限がありますし、魔法を使って全てが解決、という話ではありません。殺人の謎はこちらの世界でも、論理によって解き明かされるのです。
それで登場人物が考えていたより若くてあれー? いえ別に若くても良いんですけど、てっきり主人公のダーシー卿は50代くらいなのかと思っていたのですよ。34才かー。それでもって仕えているノルマンディ公(現国王の実弟)は20才で、国王が30才か。うーむ、若い。
長編の「魔術師が多すぎる」は絶版になったままなので、再販してほしいなあ、です。