るるむく日記

趣味にひた走るつれづれの日々

Fatal Shadows

Fatal ShadowsYL 6.8-7.2 総語数50544語

Fatal ShadowsFatal Shadows
Josh Lanyon

GMP 2000-05
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[t]:Fatal Shadows[an]:Josh [as]:Lanyon

ゲイ・ミステリ。

主人公はLAに住む、書店オーナー兼ミステリー作家のAdrien English。Adrienが、店にやってきた二人組の刑事、ChanとRiordanから、従業員で高校時代の友人でもあったRobertの死を告げられる、というところから話が始まります。

Robertの殺人容疑はかけられるは、さらに身近な友人が殺されるわ、自分の身にも危機がせまってくるわ、という、ストーリー展開としてはオーソドックスな、主人公の一人称で語られる、素人探偵モノです。

「あんまり難しくなくて(YL6-7程度)、あんまり長くなくて(本文がPBで156頁)結構おもしろいよー。一度絶版になったのを、シリーズ3作目が出版されたのを機に作者がホームページでPDF版をフリーで公開してるよ」、という紹介でその気になって読んでみました(なので今回私が読んだのもそのPDF版です)。

日本でも紹介されたゲイ・ミステリの、マイケル・ナーヴァがゲイ版レイモンド・チャンドラー、ハード・ボイルドだとすれば、このJosh Lanyonは、ゲイ版ジェフ・アボットあたりでしょうか? この本の主人公の好みと同じく、コジー・ミステリーなんじゃないかと思います。

ちょっとこの殺人は動機として弱いのでは? とか、高校時代のエピソードや、人間関係をもうちょっと書き込んでもらっても、という部分もないわけではないけれど、トントーンと進んでいくストーリーは読ませてくれます。

ゲイミステリなので、主人公をはじめ、メインの登場人物はほとんどがゲイかバイですが、基本的なミステリとしての作りや、小ネタの使い方、人物関係などは、コジー・ミステリーの王道な展開で、そのへん、比較しながら読んでもおもしろい感じです。

ジー・ミステリ的な展開から言うと、初対面の印象が主人公には最悪で、イジワルなんだか優しいんだか、ぶっきらぼうなRiordan刑事(Adrienとの会話はボケとツッコミの漫才みたいなかけあいになってて楽しい)と2巻目以降イイ雰囲気になる筈なんだけど(^^;)、気になります。

しかし、再販の予定がないから、とフリー公開はふとっぱらだなあ>作者。

シリーズ最新刊が出て、遡って読みたい人は困るよね、ってあたりは作者本人のシリーズものスキー具合が出ている感じがします。ちなみに、「(本で欲しい)コレクターの人は、一応市場にまったくない訳じゃないから、欲しい人は見かけたら買ってね」、ってトコもうけました。

えーと、ミステリで良くある程度には、主人公のベッドシーンはありますので、その手のがダメな方はご注意を。

作者公式サイトはこちら

http://www.joshlanyon.com/index.html