るるむく日記

趣味にひた走るつれづれの日々

Letters of Tolkien No.126

 

Letters of J.R.R. Tolkien: A Selection

Letters of J.R.R. Tolkien: A Selection

 

126:1950/3/10 ミルトン ウォルドマン宛て(草稿)

親愛なるウォルドマン

スタンリー・アンウィン卿の返信の関係がある項目は以下の通り。

 

「あなたの問題は、戦争前でも解決することはたやすくはなかったでしょうし、今となってはより困難になっているー制作費用が当時の三倍近くとなるのに伴って。
100万語を言ってみれば3つから4つの独立した巻に分ける可能性があるかどうかを我々に知らせていただけますか。
あなたはもしかしたら覚えているかもしれません、我々が紫式部の素晴らしい作品、源氏物語を出版するときに、我々がそれを6巻に分けて出版したことを、それぞれ異なった題名の下に、しかしながら、最初の4巻はもちろん、すべて源氏物語で、残りの二巻は彼の息子についてのものです」

 

(私は自分の手紙で強味としてきたーシルマリルの物語と指輪物語は、一つの指輪と宝石の長いサーガとして相伴うものであると、そしてそれらを一つのものとして取り扱うことを決心した。それらが形式上出版されるかもしれないものとしてでも)
私は言及したー この物語が、自然に、シルマリルの物語と指輪物語(どちらも60万語くらい)の間で別れること、をそして後者は、不自然な断片として以外には分けられないことを。

私はもし彼がこの途方もないサーガにかかわることを断ったとしても、決して驚かないこと付け加え、喜んで、もっと単純で短い何か(実際、児童書)をじきに彼のために書き表すと。

この時点で、問題がある。私はアンウィンが、その原稿と二か月の「リーディング」の要求なしに手放してくれることを願っている。
しかし私は楽天的ではいられない。
私はすぐに仕事ー 私がすでに関わっているー に戻るべきである。
アンウィンは「農夫ジャイルズの冒険」がたった2000部しか売れなかったと伝えてきた。
私はまったく宣伝をみていなかったと返答した

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前の手紙、125番をなぞるような手紙です。
ちょっと面白いなと思ったのは、「源氏物語」の出版への言及があることで
なんだろう?? と思ったら、
源氏物語の初の英語の完訳(「鈴虫」の巻のみ除く)は1925年にアレン&アンウィン社から出てるんですね。(抄訳は1800年代に出ているようですが)翻訳をしたアーサー・ウェイリーさんの持ち込み企画だったようです。こんなところで源氏物語が出てくるとはびっくりしてしまいました。
(そしてウェイリーさんの翻訳でアレン&アンウィンから枕草子の翻訳もでているんですね)